「あー、七夕だねー」
「あ、ホントだ」


手に提げたお菓子とジュースがたくさん入った袋。コンビニのロゴがプリントされたその袋を握り締めて、ツナは笑った。私とツナは買出し係。―――ツナの家で、皆で宿題しようってことになったんだけど……。獄寺が「お菓子食いてー」なんて言い出して。そんなの自分で買いに行けばいいのにさ! 当の本人は山本に買いに行かせたかったらしくて。じゃんけんで決めようってことになったんだけど。まさかツナと私が負けるなんて。「すみません10代目ッ! 俺が代わりに…っ」って言う獄寺。だけど山本が気を利かせて、私とツナに頼んだってワケ。―――気を利かせて、って。私がツナと2人で出掛けられるチャンス、ってこと。



「今年も……皆で夏祭り行こうねっ」
「うん。ランボ達もきっと喜ぶよ」



商店街の壁に貼られた夏祭りのポスター。喜ぶのはランボ達だけじゃないけど、ね。勿論私も嬉しいわけで。商店街の屋根から下げられた七夕の笹。たくさんのカラフルな短冊を見ながら、私は思わずツナの服の裾を引っ張っていた。何?、と振り返ったツナに向かって、そこに置いてあった短冊を指差した。


「ほら、アレ! 誰でも書いていいんだって!」




ペンと短冊が用意された台に駆け寄る。お願い事なんて……ツナは書かないかもしれないけど。そう思っていたのに、意外にもツナは笑って一緒に走ってくれた。



ちゃんは、どんなお願いするの?」

「秘密」



ふふっ、と笑ってペンを握る。黄色の紙の表面に、大きな字で『皆がずっと元気で居られますように』って書いた。何か視線を感じてハッと顔を上げると、にこにこしながらツナが見ている。「優しいね、ちゃんは」 そう言って笑うツナに思わずドキッとした私。ほてる顔がバレないようにそっと顔を逸らしつつ、その紙を裏返した。隣でツナも何かお願い事を書いてる。それを横目で見ながら、今度は小さな字で『ツナとずっと一緒に居られますように』と書いた。―――織姫と彦星は、2つもお願い事叶えてくれるかな。……きっと大丈夫だよ、ね。ツナの方を振り返ると、彼はもう書き終えた様で、笹に結び付けている。



「ツナは何書いたの?」
「秘密」


「秘密って…さっき私のだって見たでしょー」



ツナが必死に隠そうとしているのを押し切って、彼の手の中のそれを見た。水色の表面に書かれた『皆とずっと楽しく過ごせますように』の言葉。……ツナらしいな。でも、顔を真っ赤にしたツナに気づいて、まさか、とその紙を裏返した。私と同じくらいの小さな字で、『ちゃんとずっと一緒に居られますように』って。
私は思わず自分の短冊を裏返した。……全く同じ。同じ想い、同じ気持ち。嬉しすぎて言葉にならない。



「えっと……その、ちゃんが……好き、ってことで……」



消え入りそうな小さな声だったけど、私のことを大切に想ってくれるツナの優しさが痛いほど伝わった。「私も、」って返事をして、「さ、獄寺達が待ってるよ」 と再び歩き出す。



ちゃん」
「ん?」




「ちょっと……遠回りして帰らない?」



顔を赤く染めて左手を差し出すツナのその手をしっかりと握り締めて、私は。



重なり合う に願いを
大 好 き だ 、 と 2 人 の 想 い が 重 な っ て





☆奈緒ちゃんのみお持ち帰り可能です!
奈緒ちゃん、お勉強頑張って下さい!(くれぐれもお体には気をつけて…!)

(Tiara3周年記念リクエスト企画:Written by Rui)