二人で歩いたあの道を一人で歩いた。 「ふぁ……。」 電車を降りて伸びをした。さすがに2時間はつらいな。新幹線で来ればよかった。お尻も痛くなるし乗り換えも間違えそうになるし。 だけどついた今となっては関係ない。ここに戻ってきたのだから。地面におろしていた大きな鞄を手に懐かしい道を歩き始めた。 小学校5年生。皆から上級生と言われて私もその気になっていた。大人になったと思っていたんだ。だけど世間から見たらまだまだ子供な訳で(今見たら私もそう思うけど)親の言うことに逆らうこともできずにただ従うだけだった。だから引越しすることになった時もどうすることもできずにただ呆然とつっ立ったままだったのだ。 その頃私には同い年の友達、と言うか幼馴染がいた。気がつけば一緒にいて一緒に遊んで。いじめられた時に助けてもらったりしたこともあったな。そんな彼と別れるなんて考えられなくてずっと泣いていた。…まあ引っ越してしばらくしたら平気になったけど。でも平気=忘れるという訳じゃないからそれが余計に私を苦しめていた。 「あれ、本屋さん潰れたんだ。」 ぼんやりとした記憶を何とか引きずり出しながら街を眺める。変わったところもあるけどやっぱりそこは変わっていなくて自然と顔が綻んだ。 「…さて」 これからどうしよう。 荷物重いしおばあちゃん家行っておいてくるのもいいけどやっぱり先に明日から通う学校を見ときたいな。編入試験は向こうであったから実際に学校を見るのは初めてだし。 (…よし) ポケットからお母さんに書いてもらった地図をだして右手に握りしめ、重たい鞄も右に背負って少し傾いた身体で足を進めた。 (でかっ!人多!!) それが第一印象だった。 あれ、今日って休日だよね?土曜日だよね?なのにかなり人がいるんですけど…。予定では誰もいないことを前提に校舎の中を歩きまわる予定だったけど……仕方ないか。校舎をぐるっと見て帰ろ。 こんな大きな荷物持って歩く私は少し目立ってるかもだけど気にしたら負けだよね!よし、さっさと見てさっさとおばあちゃんの家に行こう!気合十分という感じで歩いた…もっと目立っちゃった気がするよ…。 最初に思ったとおり校舎は大きくて周るだけでも時間がかかった。こんなに歩くなら帽子持ってくればよかったな。額に滲んだ汗をぬぐったその時、声が聞こえた。 (これは…野球部?) そう言えば彼は野球をしていた。たまに一緒にキャッチボールしたっけ。だけど彼がどこの高校に行っているかなんて知らない。彼と連絡はとっていなかった。あ、最初の1年はとってたかもだけどいつの間にか途絶えてしまった。 (まぁずっと続く訳ないと思ってたけど) 続いてほしいと、思っていた。 「だれ―?」 にょきりと現れて顔を覗き込んでいる男の子がいった。もちろんびっくりして後ずさった。野球部の人…だよね。ユニフォームっぽいの着てるし。 「あー…ただの通りすがり 「何年生?野球に興味あんの??」 「えっと」 「こぉら田島!!!他人に迷惑かけんな!!!」 「あの」 「すいません、こいつが…」 「い、いえ」 「どした?花井―…」 グラウンドから次々に野球少年たちが出てきた。いや、私のことはいいから練習頑張ってよ! 「…?」 「………え」 呼ばれた名前に周りを見渡す。まさかまさか、そんなことがある筈は―――――― 『!!』 優しく手を差し伸べてくるあの声蘇った。 『孝介』 名前をよび続けてはしゃぎあったあの日、忘れることなんてできなかった。 「………孝介」 (運命なんか信じてないけど) ++++++++++++++++++ 泉君最後だけ!? えーと…ごめんなさい、いろいろ; 続きもあったのですがまとまらなかったので消しちゃいました(苦笑 何時かちゃんと書きたいですv あ、あとこれはイメージソングがあります。 松た○子さんの「明○、春が来たら」という曲です。 よかったら聞いてみて下さいv ここまで読んで下さりありがとうございました。 2009.4.29
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