An ardent the tenth generation call








「10代目!」
「あ、10代目!!」
「10代目〜!!!!!!」
あーもう!その言葉を聞くだけでもイライラする!!!!










私には獄寺隼人というそれはもうかっこいい彼氏がいる。なのにその彼は、
「10代目!俺も一緒に行きます!」
…10代目―――沢田綱吉にゾッコンだ。
「…獄寺。」
「んあ?んだよ。あ、10代目!待ってください!」
「あ、ちょっと…。」
また、だ。
私が話しだす前に獄寺は沢田の方に走って行ってしまった。
付き合い始めてからもう2ヶ月。だけど付き合い始めたころからずっとこんな感じで沢田への愛は感じられても私への愛はこれっぽちも感じられない。呼び方も名字だしキスなんて以ての外、手を繋いだことすらない。告白したのは私からで獄寺は「おぅ。」の一言。そうだ、思い返せば彼の口から「好き」という言葉を聞いたことないような…もしかして遊びで付き合ってるとか…?いや、獄寺に限ってそんなことはないと思うけどでもそんなの私に分かることじゃない―――――――
(…やめよ。)
分からないことを考えても仕方がない。私は教室を出て部室へと足を向けた。




















「……な、なんでいるの?」
「いちゃ悪いのかよ。」
日もすっかり落ちた時間、誰もいないはずの下駄箱に向かうとそこには獄寺がいた。
「…沢田待ち?」
「違ぇよ。お前待ち。」
「…え?!」
そんなこと今まで一度もなかったのに。いつも放課後は沢田と一緒にさっさと帰る彼が今日に限ってここにいる理由がさっぱり分からなかった。
「さっさとしろよ。」
その言葉にはっとして急いで靴を履き換えた。




さっぱり分からないと入ったけどなんとなく予想はついていた。
いつ来るのかと思っていたけどまさか今日だとは思わなかった――――『別れよう』そう言われても仕方がない関係を私たちは保ってきていたのだから。
ただ私たちは無言のまま歩き続けた。
仕方がない関係、だけどね獄寺…私は…私は―――――
「…お、おい!何泣いてんだよ?!」
獄寺の声にハッとした。自分でも意識しないうちに泣いていたらしい。
「…っんでもない。」
「……な訳ねェだろ。」
獄寺の視線が離れない。でも本当に何でもないんだ。今から獄寺にフラれる、そんなことに比べたらこんなのなんてことない。だけど一つだけ最後に聞きたいことがあるんだ。
「ご、獄寺は私のこと好きだった?」
祈るように尋ねた。



「………何で過去形なんだよ。」



「え…だって今から私、振られるんじゃ…?」
「はぁ?何でそうなんだよ!!」
獄寺はわけわからないといった顔でこちらを見るけど私だって訳が分からない。
「だ、だっていきなり一緒に帰るなんて!それしか思いつかないもん!!」
「…今日は―…10代目と野球バカが…」
もしかして沢田が言ったから私と帰ったの?一応彼女なんだからたまには一緒に帰ってやれよ、とか?それは振られることと同じくらい悲しいかもしれない…。
「一緒に帰らないと嫌われるぞって言うから…」
誰に?私に……?もしかしてお互いに同じこと思ってたとかそんなオチ…?


なぜか笑いがこみあげてきてそれを必死にこらえた。
「…沢田っていい奴なんだね。」
今までダメツナだしあまりいいイメージなかったけど今日この時株が一気に上昇した。だけどそれを獄寺に告げるのは間違っていた。
「ったりまえだろ!今頃10代目のすごさが分かったのかよ!!」
それから帰るまで獄寺が沢田のことばかり話していたのは言うまでもない。







熱烈十代目コール!
(沢田がすごいのはよく分かった。だけどたまには私も見てほしいんだけどな…)







次の日沢田に「10代目―!」っといったら青い顔をされた。


++++++++++++++++++
初獄寺夢。

なんだか書いていてとても楽しい話でした。
…実は「お前待ち」って言うのを入れたかったりだけだったり…。
ここまで読んで下さりありがとうございました。

2009.3.7