扉を叩くとどうぞという声がした。それに従って私は扉を開けて広い部屋に足を踏み込む。目の前には広すぎる部屋には小さい机が一つあった。そしてそこには綺麗な金色の髪をした青年が疲労120%と言う顔をして座っていた。
「ボス、お疲れ様です。」
羽ペン特有の音が止まって眼の下に隈を作ったボスが私を見上げてきた。
「…、俺はいつまでこいつらの相手をしないといけない訳?」
「さ、さぁ…。終わるまでじゃないでしょうか…?」
「…………もう嫌だ…。」
ぐったりと机にうつ伏すとバサバサと書類が床に散らばった。1週間前には天井に届くんじゃないかと思うほどあった書類はボスの格闘の末、やっと机に収まるほどまでに減っていた。…本当にお疲れ様です、ボス。
「休憩にと思って紅茶とケーキを持ってきたのですが…。」
「は天使だね…!!」
「…ありがとうございます。」
流石はイタリア人、お世辞がとてもお上手です。いつものように私はボスのお世辞を受け流すと、入れたばかりの紅茶とケーキをボスの前に置いた。ボスは嬉しそうにケーキを見つめると子供のような顔でケーキを頬張った。
「ん、おいしい!!これが作ったの?」
「はい、と言っても簡単ですしすぐできるんですよ?」
「それでも、おいしい…。」
トクン。
少しだけ、胸が跳ねた。
ボスはとても優しくて他人想い。ボンゴレ内では勿論、街の人たちにも好かれていて、とてもマフィアのボスとは思えないお方だ。私もそんなボスを尊敬しつつ敬愛している人の一人。つまり簡単にいえば、ただの…部下だ。秘書でもなければ側近でもない。本当にただの一部下でしかない。だからこんな優しい言葉をかけてくれるのは別に私が特別だとかそう言うことではなくてみんな平等の優しさなんだ。仮に私以外の人がケーキと紅茶を持ってきてもボスは同じように言う。だから想いを寄せるだけ無駄なんだって分かってる。必死に自分にそう言い聞かせても高鳴る鼓動が収まることはなかった。
「?どうかした?」
「あ、何でもありません。食べ終わったらまた書類頑張ってくださいね。」
「はぁ…いやなこと思い出させるなよ…。」
「まぁまぁ、私も手伝いますから。」
「え、本当?」
「はい。本当です。私今日の仕事もう全部終わったので。」
にこりと微笑むとボスは顔を輝かせた。
…それに今日は何としてでも書類を終わらせてもらわないと。刻々と予定の時刻は迫ってきているのだから。
雲ひとつなかった青空はすでに赤く染まってそれもあと数十分で暗闇へと消えてしまいそうだった。そんな中、部屋にシャッと言う音が響いてボスはペンを置いた。
「お、終わった―!!」
万歳をするようにボスは両手をあげる。
「お疲れ様でした。」
「いや、のおかげだ。ありがとう!これで今日はぐっする寝れる…。」
ボスは立ち上がって寝室へと向かっていく。え、ちょっと待ってください、もしかして今から寝るつもりですか?!それはちょっと困るんですけど!!焦った私はとっさにボスの腕を掴んだ。行き成りのことでボスは少し驚きながらもこちらに微笑みかける。
「どうかした?」
「あ、えーと…ちょっと、ですね…。」
どうしようどうしよう…予定の時刻まであとほんの少し。どうやって私はボスを引き留めればいいの誰か教えてー…。早くしないとボスの超直感で気付かれちゃうのに!!
そう思った時だった。
ドンッ!!!
いつの間にか薄暗くなっていた空に一つの大きな華が咲いた。
「これは…花火…?」
「はい。よかったぁ…間に合って。」
間に合わなかったらみんなに怒られるところだったよ。
「…どういうこと?」
「最近ボス忙しそうできっと疲れがたまっているだろうなってみんなで話した結果、花火を打ち上げてリラックスして貰おうってことになったんです。…どう、でしょうか?」
じっと花火を見つめるボスの表情はとても穏やかだった。
「そっか…後でみんなにお礼言わなきゃな…。」
「ふふ。みんなきっと喜ぶと思います。」
みんなボスのことが本当に大好きで、今日の日のために頑張ってきたんだから。花火はわざわざ日本から大きいのを取り寄せたし花火師だって日本人だ。花火=日本と言う訳ではないけどボスが日本好きってことは周知の事実だし日本の花火技術は進んでいるとどこかで聞いたことがあったから。
「綺麗だな…。」
「そうですね…そんなにたくさんないですが喜んでもらえたなら光栄です。」
「ふーん…これ日本の花火だよね…。遠いから大変だっただろ。」
「ボスのためですから…。」
「…俺はいい部下を持ったな。」
空に咲く花を私たちは見つめていた。
ゆっくりと時間が過ぎていく中、ボスがポツリと呟いた。
「俺、引退したら日本に住もうかな…。」
「(いきなり?!)引退なんて…まだまだ先の話じゃないですか。」
「ただの人生計画だよ。…そうだな、日本に行ったら毎日和服着てみたらし団子食べて桜見てのんびり暮らすぞ…!!」
「あはは。何だかボスらしいですね。」
「…で、隣にはいつもがいるんだ。」
「…へ?」
何でいきなり私?話が読めないんですが……。
「あれ?分かんなかった?」
話の展開について行けなくて硬直しているとボスが私の腕を引っ張って胸に引き寄せた。
え、え。さっきの言動といい、どうしちゃったんですかボス?!
「好きだって言ってるんだけど。」
昇れ炎よ
天まで届け!
次の瞬間唇にあたたかい何かが触れた。
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読みにくくてごめんなさい;
初プリーモ夢。
捏造です、ので皆さんのプリーモのイメージとはかけ離れてるかもしれません;
私の中でのイメージはツナをちょっと強引にした感じ?なので…。
因みに他の部下たちは二人が想い合っていることを知っていてなのでこの花火計画は実はボスリラックス&2人くっついてしまえみたいな感じで計画されたという裏話があったりなかったり…(←
ここまで読んで下さりありがとうございました。
2009.2.6