![]() ![]() 恭弥さんへ お元気ですか?私は元気です。 手紙なんて久しぶりに書くからどう書けばいいのか分からなくてとりあえずこんな始まりになってしまいました。一昨日電話で話したばかりなのに元気か聞くなんてなんだかおかしい気分ですけど。恭弥さんが読む頃には丁度いい位になっているのかな?あ、敬語なのは手紙を書くときの昔からの癖なので怒らないで下さいね?これでも大分崩してるつもりなんですよ…。 さて、今回手紙を書いたのはたまにはいいかな〜と思ったから…と言うのもあるんですけど先日友達(中学の頃からの友達だけどきっと恭弥さんは覚えていないと思うのであえて名前は伏せておきます)と旅行に行って来た時の写真を送ろうと思ったからです。因みに期待してないと思いますけど私の写真はほとんどないですよ。恥ずかしいから。 行ってきたのは京都で日本古来の町並みが広がっているからきっと恭弥さんも気にいると思います。日本に帰ってきたら今度は二人で行きましょう。約束です。 恭弥さんがイタリアに行ってからもう3年が経ちますね。 そちらの生活はどうですか?毎日パスタばかりだと最初の頃は愚痴をこぼしてばっかりだったけど最近は聞かなくなったのでなれたんだろうなと勝手に解釈しています。 ただでも強い恭弥さんが強くなりたいからイタリアに行くと言った時は本当に驚きました。正直に言うとそれ以上強くなってどうするの?と言いたかったです。だけど言えなかったのは私が唯の怖がりだから…。 今となっては昔の話ですが私がマフィアの集団に襲われたのを覚えていますか?あの時私が大怪我をしてしまったことが恭弥さんを追いつめてしまっていたのだと後で草壁さんに聞きました。あ、私がせがんで聞いたので草壁さんを怒らないで上げてくださいねっ!! 私を連れて行ってくれなかったのも傷付けないようにするためだったんですよね?あの時は泣いてばかりだったけど今思うとすごくうれしいです。 でも…でもね。本当はそこまでしてほしくなかったんです。あの日、大怪我を負った日。跡が残る傷を負ったにも関わらず私を抱きしめてくれたから、それだけですごく嬉しかった。幸せだったんです。それだけでよかったんです。だから自分をあまり追い詰めないでね。って、余計なお世話ですね。手紙だとついついいろんなことを書いてしまって正直自分の手が恐ろしいです。とりあえず何が言いたかったのかと言うと、とにかく体には気をつけて下さいってことです!! 少し間があきました。読み返すと恥ずかしいことばかり書いていて顔から火が出そうです。だけど消すのもなんとなく勿体無いのでこのまま続けます。 昨日は雪が降りました。積もるほどでもなく少しだけ、パラパラだったけどこちらでは初雪です。イタリアではもう降りましたか?どういう地形なのかよく分からないから何とも言えないですがそちらでもきっと綺麗な雪が降るんだろうな。日本とはまた違った雰囲気だと思うと少しだけ羨ましいです。 今は空もすっかり晴れてきれいな空が広がっています。この空の向こうに恭弥さんがいるんだ思うとなんだかすごく安心します。遠くにいるのに、なんだかすごく近くに感じるんです。 気が付くとすっかり長い手紙になってしまいました。ここまでにします。 写真の感想電話で教えて下さいね。楽しみにしています。 あとやっぱり体には気を付けてください、風邪ひかないようにしてくださいね。恭弥さんの風邪は酷くなることが多いから。 それでは心をこめて ![]() ![]() ![]() 同封された写真には日本独特の木の建物が並んでいるものが多かった。 なるほど、確かに僕好みかもしれない。最近は石の建物しか見ていないから余計そう思った。 約束ですって書いてあるけど僕一言もそんなこと言ってないんだけど。まあいいや、どうせ行きたいって思ってたから今度帰った時にでも連れて行こう。 机の上にこれでもかと積み上げられていた書類は先ほどなくなり仕事も終わっていた。 なんでぼくが書類整理なんてしなくちゃいけないの、そもそも僕がイタリアに来たのは強くなるためであってこんなことするためではない。 そう思って両手にトンファーを装備して沢田綱吉に会いに行ったらこれでも読んで気を静めてくださいと渡された手紙がこれだった。 彼は中学のころに比べたら何倍も面白い男になった。いい意味でも悪い意味でも。 一発だけ殴り手紙を受け取って読んだのはいいけど何これ。あの子何考えてこんなこと書いたのか知らないけど本当にふざけてる。 正直戸惑った。電話越しとは明らかに違っていたから。 これは本当に本人が書いたのか疑わしかったけど特徴的なこの字体は明らかにのもので。 もしかしてあの時みたいに何かあったのかと思ったけどの護衛をしている草壁からの連絡は今日も異常なしだった。別に毎日連絡しなくていいと言ってあるのにしてくる草壁は過保護すぎるのかそれともただのアホなのか。けど今回はその情報に助けられたから良しとすることにしよう。 すたすたと歩いて向かう先は数時間前に出て行った所。普通ならノックしてはいらないといけないドアを蹴破るように開けた。 「てめっ!!オイ雲雀!!ノックしろっつってんだろーが!!!!!」 仔犬のように泣き叫ぶ獄寺隼人を無視し、広い部屋の真ん中に設置してある巨大な机の前に座る青年の前に立った。 「ひ…雲雀さん、どうかしましたか?」 さっき殴ったところにはシップが貼ってあるけど端がかすかに青くなっているのが見えた。そんな強く殴った憶えはない…こともない。よく憶えてないけど。 「…日本に帰る。」 「へっ?」 「しばらく帰ってこないからそのつもりで。」 それだけ言って部屋を出た。後ろであわてた声が聞こえたけど気に留めなかった。 怒るなら僕じゃなくてを怒ればいい。あんな手紙書くから。 会いたくなるに決まってる。 元々そんな我慢できるような性格ってわけじゃないし。 そしてよく考えたら我慢する必要もない。3年前とはもう違うんだから。 地道に準備してきたかいもあってをイタリアに受け入れる手はずはほとんど整っていた。 携帯を軽くいじり飛行機の予約を取ると部屋に帰りパスポートと通帳その他必要なものを適当に鞄の中に詰め込んだ。 待ってなよ、もう死んでも離したりしないから。 誰もいない部屋にドアのしまる音が響いた。 +++++++++++++++++ ほのぼのを目指したのですがどうでしょうか? ちなみに背景の写真は私が撮ったものです。 意外と綺麗に取れたので折角と思い。 話はこの写真から考えました。 手紙ネタはやってみたかったので満足です。手紙じゃないと書けないことってやっぱりあると思うし…。 本当は別の終わり方をしていたのですがタイトルと合わなくてやめました。(手紙を出しに行っていたら雲雀さん帰って来たよ的な感じで←) 雲雀さん視点は難しいです…(長編やってるだろ でも満足してるからいいや。うん。 何時かこの続きの話もかけたらかきたいです。 いや、あんまり考えてないですけど; ではここまで読んで下さりありがとうございました。 2009.3.5 |