「お、!!」
「…呼び捨て禁止!!」
「いてっ!!!」









学校帰りに出会ったのはユニフォーム姿の武でなんだかその姿にイライラしたのでチョップをした。武は痛そうに顔を歪めていたけど無視しておいた。どうせ10秒もしたらいつもの笑顔に戻るんだから。
…さん。一緒に帰ろうぜ。」
…その笑顔に私がとてつもなく弱いなんて、武は知らないんだろうね。








「高校どう?」
「んー?別に普通だよ。中学のころとあまり変わんない。」
「高校生って大人ってイメージあるけど…」
「うん、私もそう思ってたけど実際はあんまり変わらないよ。」
そうなのなーとどこか安心するように呟く武をチラリと見た。
家が隣同士の私たちは所謂幼馴染というやつでしかも親同士も仲が良くて昔から一緒に遊んだりご飯を食べたりしていた。…そう言えば一緒にお風呂に入ってたりもしてたっけ。今となってはもうただの笑い話だけど。
昔から自由気ままで活発な武は私をよく困らせた。二つしか離れていないのに、でもその差は大きいみたいで私はいつも武の面倒みてたっけ。別に嫌じゃなかったけど。だって昔の武可愛かったんだもん。「ちゃん、ちゃん!」って言って飛びついてくる彼が私は愛おしくて堪らなかった。なのに、
「なんでこんなのになっちゃったのかな…。」
「い、いきなりどうかしたのか?」
「ん……武中学に入ってから変わったなぁって。背だって昔は私の方が高かったのに。」
今はもう私なんて優に超えて丁度武の肩に私の頭があるくらいだった。
「(それで機嫌悪いのか)そりゃ俺は男で、さんは女だもんな。」
「…やっぱそのさん付嫌だ。呼び捨てでいいよ。」
「なんなら昔みたいにちゃんって呼んでやるぜ?」
「…………。」
「じょ、冗談だって!!」
武の言葉に思わず部活で使っている薙刀を構えたら慌てて訂正された。当たり前だ、というか冗談じゃないと困る。昔みたいに小さくてかわいい武ならまだしもこんな大きくった彼に言われても嬉しくないし逆に気持ち悪い。
だけどこの天然小僧だ、冗談と言いながら本気でやりそうで見上げた顔を睨みつけた。後退りしてた…ふふん、ざまーみろ!!
「……あ」
「ん。どうかしたのか?」
見上げた横顔に手を伸ばした。武は驚いたように目を見開いたけど無視だ無視。
「怪我してる。」
「ん…?あぁ、部活でスライディングした時に擦っちまったのかな。」
大したことなさそうに武は言った。確かに血も出ていないしこんなの武にとったら日常茶飯事なのかもしれない。だってよく見たら腕にも足にも同じような傷がたくさんあったから。
「…やっぱ変わんないね。武」
「へ?なんか言ったか?」
「ううん!なんでもないよーだ!」
「ははっ、なんだそりゃ!」
武につられて唇に笑みがこぼれた。














怪我の絶えないやんちゃっ
(大きくなっても、声が変わっても、やっぱり変わってない。あの日の彼がいた)










「そうだ、もう直ぐ試合あるんだ。見に来いよ。」
「えー……」
のためにホームラン打つから、な!」
ほらまたあの笑顔だ。
「…仕方ないなぁ。」














カキ――――――ン

「って、逆転ホームラン?!」



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短い…かな?でも愛は詰まってます。
年上主人公です。年上大好きです(←
この話はまた続きを書く予定です。

ここまで読んで下さりありがとうございました。

2009.3.18